ベークラの挑戦

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ユティック陸上部で「挑戦」をテーマに日々の生活を更新します

ミニハードル走でみる走りの「ため」と「切れ」の正体

こんにちは、倉部勇哉です。

 

走りの練習中にコーチから「走りに切れがないよ」「もっと空中でためを作って」などと言われたことはありませんか?

 何本も走ったり、本気で走っているとそんなこと考える余裕もありません。

 

また、空中のためや走りの切れというのが言葉で説明できる人は少ないのではないのでしょうか?(私もスパッ!!とかグン!!という擬音語で表現することが多いです)

 

なのでこの記事では走りの「ため」や「切れ」というのを解説します。

(倉部の主観も混じります、ご了承ください)

 走りの「ため」と「切れ」とは?

走りの「ため」と「切れ」を説明する前に少し筋肉の話をします。

 

体の一部を速く動かそうとする時、必ず筋肉を使い、動かします。

例えば腕を曲げる時は上腕二頭筋(力こぶ)を使います。

また、曲げた腕を伸ばす時は上腕三頭筋(力こぶの反対側)を使います。

 

腕を曲げた時に使う上腕二頭筋を主働筋使わない上腕三頭筋を協働筋と言います。

 

また、曲げた腕を伸ばす時に使う上腕三頭筋を主働筋使わない上腕二頭筋を協働筋と言います。

 この主働筋と協働筋が同時に働くことで腕を素早く曲げ伸ばしすることができます。

 

もし上腕二頭筋と上腕三頭筋、同時に力を入れたら全く動かすことはできなくなります。実はこれ、走りにも言えることなんです。

 

循環運動(同じ動きが繰り返される)である走りはその循環をスムーズにさせることが大事です(走りの際の主働筋、協働筋が同時に収縮したら走れない)

 

なのでよく走りの時は「リラックスして走れ」と言われるのです。 

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上の画像は素早く大きな力を発揮する動作を行う時の筋電図です(イメージ)

 

これは一回の力発揮なので投擲や跳躍などで見られます。

 

投擲や跳躍のような速い動作では動作速度や力を効率よく一気に発揮させるためにその動作の直前、筋肉の活動を一時休止させ、その後、一気に大きな力を発揮させる筋放電休止期が発生します(画像参照)

 

このような現象は1流アスリートでよくみられ、動作の熟練度が増すほど、この筋放電休止期は短いです。

 

おそらく、走りの場合でも同じでこの筋放電休止期のことを「ため」その後の一気に大きな力を出す場面を「切れ」と呼んでいるだと思います。

なぜ走りに「ため」と「切れ」が出ないのか

先ほど書いたように「ため」と「切れ」を出すためには筋放電休止期を出すことが望ましいです。

 

そのためにはリラックス状態であることが絶対条件となります。

なぜなら体が緊張していたり、力んでしまっていると「ため」である筋放電休期が起きず、大きな力が発揮できません。

 

結果、大きな力を発揮させる場面である「切れ」が出ないという悪循環が起きてしまうからです。

走りに「ため」と「切れ」を出すには

走りの「ため」と「切れ」を出すためには日頃の走る練習で意識することが大事なのですが私がおすすめする方法は「ミニハードル走」です。


12月6日 ミニハードル走 2.1m幅

 

ミニハードル走とは等間隔もしくは徐々に幅を広くした距離にミニハードルを起き、その間を1歩で走り抜けるという練習です。(動画内は2.1mの等間隔です)

 

このミニハードル走をおすすめする理由は

  • ミニハードルがあることで「ため」と「切れ」がタイミングがわかりやすい
  • 動画で確認しやすい
  • ストライド・ピッチの変化がわかりやすい

この3つです。

 

ミニハードルがあることで「ため」と「切れ」がタイミングがわかりやすい 

何もない所を自分の注意だけで意識するよりもミニハードルを置いて超えて挟み込もうとする方が視覚的にも感覚的にもやりやすいです。

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この画像はミニハードルを越えようとしている所なのですが、このタイミングが「ため」と部分となります。

 

私はここで少し膝を斜め上に持ち上げるようにしています。(真上にあげると前に飛ばずに、上に飛んでしまう)

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この画像はミニハードルを超えて高くあげた膝を下ろしている場面です。

 このタイミングが「切れ」の部分になります。

 

高く上げた前足の膝を後ろから持ってくる足が空中で追い越すイメージです。

これで「挟み込み」を作ります。

動画で確認しやすい

動画で撮影して確認する時に

・ハードル間のどこで接地しているか

・姿勢は後傾しているか?前傾しているか?

・挟み込みはできているか

・膝はどれくらい上がっているか

など確認しやすいです。

 

また、コーチと話す時も撮影した動画を元に話し合うことができます。

ストライド・ピッチの変化がわかりやすい

走りのスピードはストライド×ピッチで決まります。

 

なので、ピッチを優位にしたい時はミニハードルを狭く、ストライド優位にしたい時はミニハードルを広く、最大スピードを高めたい時はストライド広く、ピッチ速くなど調整が効きます。

また、いろんな幅で走り、自分の感覚やフォームを確認し、今のストライドを知ることもできます。

終わりに

 以上、「ため」と「切れ」の正体。その改善方法の紹介でした。

 

この記事ではミニハードルを使用して紹介しましたが他にもマーカーやバー、小さいコーンなどでも代用できるので、ぜひみなさんも練習で試してみてください。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。